首が回りにくい・腕が上がりにくい原因は?肩甲挙筋という筋肉の話
車をバックさせるときに、後ろを振り向きにくい。
洗濯物を干そうと腕を上げると、途中で引っかかる感じがする。
「肩こりかな」と思って肩をもんでも、あまり変わらない。そんな経験はないでしょうか。
首の動きと腕の動き。別々の悩みに見えますが、同じひとつの筋肉が関わっていることがあります。今回は、その「肩甲挙筋(けんこうきょきん)」についてお話しします。
肩甲挙筋は、首と肩甲骨をつなぐ筋肉
肩甲挙筋は、首の骨の横から、肩甲骨の上の内側の角につながっている細長い筋肉です。
役目は大きく2つあります。
- 肩甲骨を上に持ち上げる
- 肩甲骨を下向きに回す
肩をすくめたときに働く筋肉、と考えるとイメージしやすいと思います。首の付け根あたりの「いつも硬いところ」は、ちょうどこの筋肉が肩甲骨につく場所にあたります。
なぜ首と腕の両方が動きにくくなるのか
持ち上げたまま、降ろせなくなる
パソコンやスマホの画面をのぞき込むと、頭が前に出ます。すると肩甲挙筋は、肩甲骨を吊り上げながら首を支え続けることになります。
この状態が長く続くと、筋肉は持ち上げたまま固まり、力を抜けなくなっていきます。
腕が途中で引っかかる理由
腕を高く上げるとき、動いているのは肩の関節だけではありません。肩甲骨も一緒に、上向きに回っています。
ところが肩甲挙筋は、肩甲骨を「下向き」に回す筋肉です。ここが固まっていると、肩甲骨は上向きに回りにくくなります。その結果、腕が途中で止まったり、肩をすくめないと上がらなかったりします。
振り向きにくい理由
肩甲挙筋は首の骨にもついているため、硬くなった側が首を引っ張り続けます。そのため、硬い側とは反対の方向へ、首を回したり倒したりしにくくなります。
つまり、首の付け根のこりそのものより、「首と肩が動ける範囲が狭くなっていること」のほうが、本当の困りごとと言えます。
寒くなる季節と、片側のクセに注意
肩甲挙筋が働きすぎになりやすい場面は、暮らしの中にたくさんあります。
- 画面をのぞき込む姿勢が長い
- バッグをいつも同じ側の肩にかける
- 電話を肩と耳ではさむ
- 寒さで肩をすくめる
朝晩が冷えてくるこれからの季節は、気づかないうちに肩に力が入りやすくなります。
また、この筋肉は左右差が出やすいのも特徴です。「右は向けるのに左は向きにくい」「片方の腕だけ上がりにくい」という方は、バッグを持つ側や電話を当てる側を、一度思い出してみてください。
今日からできる小さな工夫
まずは、筋肉を固めている暮らしのクセを減らすことから始めましょう。
- バッグは左右交互に持つ
- 電話は肩ではさまず、手で持つかイヤホンを使う
- 1時間に1回、肩をストンと下げて、首を左右にゆっくり1回ずつ回す
首を強く引っ張って伸ばす必要はありません。痛みのない範囲で、ゆっくり動かすだけで十分です。
なお、腕にしびれがある場合や、首を動かすと腕に痛みが走る場合は、筋肉以外の原因も考えられます。無理に動かさず、早めに医療機関を受診してください。
ゆるめるだけでなく、背中を起こす
肩甲挙筋が働きすぎになる背景には、肩甲骨を上向きに回したり、下に留めたりする「背中の筋肉」が十分に働いていないことがよくあります。
背中が働かないぶん、首の横の筋肉が代わりにがんばり続けている状態です。
そのため、硬いところをゆるめるだけでは、時間がたつと元に戻りやすくなります。ゆるめたうえで、背中の筋肉を目覚めさせる。この両方がそろうと、首と肩が動ける範囲の改善が期待できます。
まとめ
振り向きにくさと、腕の上がりにくさ。この2つが同じ側に出ているなら、首と肩甲骨をつなぐ肩甲挙筋が、持ち上げたまま休めなくなっているサインかもしれません。
まずはバッグや電話のクセを見直し、こまめに肩を下げることから始めてみてください。
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