椅子から立つとき腰や膝がつらい原因は?眠ったお尻・大臀筋の話
椅子から立ち上がるとき、つい机やひざに手をついてしまう。立った瞬間に腰が張る、ひざが重い。長く座ったあとほど、そんな感覚が強くなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
立ち上がりのつらさは、腰やひざそのものより、別の場所に理由があることがあります。今回は、お尻の筋肉「大臀筋(だいでんきん)」のお話です。
大臀筋は、立ち上がりの主役になれる筋肉
大臀筋は、お尻のふくらみをつくっている筋肉です。骨盤の後ろ側から始まり、太ももの骨の外側へとつながっています。体の中でも特に大きな筋肉のひとつです。
主な働きは、股関節を伸ばすこと。つまり、曲がった脚の付け根を伸ばして、体を起こす動きです。
- 椅子から立ち上がる
- 階段を上る
- 前かがみから体を起こす
日常のこうした場面で、本来は大きな力を出せる筋肉です。
座っている間、お尻は「座布団」になっている
ところが、デスクワークや車の運転で座っている時間が長いと、お尻は体重で押しつぶされ、股関節が曲がった形で引き伸ばされたまま過ごすことになります。力を出す場面は、一日の中でほとんどありません。
出番のない時間が続くと、お尻の筋肉は「弱くなる」というより、「どう動けばいいかを忘れてしまう」状態に近づいていきます。
筋肉の「声」として聞いてみると
CLOVER.では、カラダの状態を筋肉の「声」として捉えることがあります。大臀筋の声は、こんなふうに聞こえます。
「朝から晩まで座られて、僕は座布団になってる。押しつぶされて、伸ばされっぱなしで、力を出す場面が一日に何回あるだろう。たまに立つ時も、もも裏と太ももの前と腰が先に動いて、僕の出番が来る前に終わってる。本当は体で一番大きくて、一番力持ちなのに。使われないうちに、自分の動かし方を忘れてしまったんだ。」
お尻が働かない分の仕事は、まわりの筋肉が肩代わりします。後ろではもも裏(ハムストリングス)、前では太ももの前(大腿直筋)、そして腰。これまでの記事で取り上げた「もも裏が張る」「太ももの前ばかり張る」というお悩みも、根っこにはこの「眠ったお尻」があることが少なくありません。
立ち上がり方で、お尻の様子が見える
手を使わずに椅子から立ち上がってみてください。そのとき、次のような立ち方になっていないでしょうか。
- ひざが大きく前に出る
- 上体が深く前に倒れる
- 最後に腰を反らせて体を起こしている
こうした立ち方は、お尻の代わりに太ももの前や腰ががんばっている可能性があります。負担がひざや腰に集まりやすい立ち方とも言えます。
もうひとつ、立ったまま「お尻だけをぎゅっと締めて」みてください。手でお尻を触って、硬くなるかを確かめます。うまく締まらない、左右で感じ方が違う、もも裏や腰に力が入ってしまう。そんな場合は、お尻が動かし方を忘れかけているサインかもしれません。
なお、立ち上がるときに鋭い痛みが出る、しびれがある、痛みが日に日に強くなるといった場合は、筋肉以外の原因も考えられます。無理に動かさず、医療機関に相談してください。
お尻は「伸ばす」より「起こす」
張りや痛みがあると、ついストレッチをしたくなります。ただ、眠っているお尻は硬いわけではないことが多く、伸ばすよりも「動かし方を思い出させる」ことが大切です。
1. お尻だけを締めて3秒
立ったまま、または座ったまま、お尻だけをぎゅっと締めて3秒。もも裏や腰に力が入らないように、お尻だけに集中するのがポイントです。座っている時間が長い日は、1時間に1回を目安に行ってみてください。
2. お尻を締めてから上げるブリッジ
仰向けでひざを立て、まずお尻を締めてから、そのままお尻を持ち上げます。腰を反らせて高く上げる必要はありません。10回を2セット。お尻に効いている感覚があれば、うまく起こせています。
3. 立ち上がる前に、お尻を締める
椅子から立つ前に、一度お尻を締めてから立ち上がります。毎日何度も繰り返す動作なので、ここでお尻を使う習慣がつくと、一日の中にお尻の出番が戻ってきます。
まとめ
椅子から立つときの腰やひざのつらさ。その背景には、座っている時間の長さによって出番を失い、動かし方を忘れてしまったお尻の筋肉があるかもしれません。伸ばすより起こす。立ち上がりの一回一回に、お尻の出番を戻してあげることが、まわりの筋肉を楽にする近道です。
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